オーストラリアで見られる生きた化石は、ストロマトライトのようなバクテリアや植物だけではありません。
驚くことに現在の哺乳類の祖とされる単孔類も、いまだに現生しています。
単孔類は、哺乳類なのに卵を産むという、極めて原始的な生き物。
化石を含めて4科が確認されていますが、現在、生きた状態で見られるのは、カモノハシ(プラティプス)科とハリモグラ(エキドナ)科の2科のみ。どちらもオーストラリア区(*1)のみに生息しています。
(*1)=オーストラリア、ニューギニア島、ニュージーランドとその周辺諸島を含むエリアで、元々同じ大陸であったことから、生物地理区上、同一区とされる。中でもオーストラリアとニューギニア島は氷河期等の海水面の変化により、繋がっていた期間が長く、ほぼ共通の生態系が育まれてきたとされている。英語表記は、Australasia。
鳥・爬虫類と哺乳類を繋ぐミッシングリンク
カモノハシは、オーストラリア大陸にのみ生息していますが、その見かけはかなり変わっています。
うさぎのようなふさふさの毛で覆われているのに、鴨のようなくちばしがあり、手足には水掻き。さらに、母乳で子育てをする哺乳類なのに、鳥や爬虫類のように卵を産むのですから、普通じゃありません。
1798年に西洋人によって初めて発見され、剥製にされたカモノハシが英国へと届けられた時には、いくつもの動物の一部分を繋ぎ合わせた模造品だと疑われ、科学者達は繋ぎ合わせた部分を見つけようと躍起になったとか。
このカモノハシの生態については、まだ謎が多く、研究途上ですが、2008年、見た目同様に遺伝子的にも哺乳類、鳥類、爬虫類の寄せ集め的な動物であることがわかりました。
こうしたことからも、ヒトなどの哺乳類がどのように誕生したかを解明する“ミッシング・リンク”だと言われ、さらなる研究・調査が進められています。
英オックスフォード大学のクリス・ポンティング教授は、「カモノハシは、ヒトなどのほ乳類がどのように誕生したかを解明する課程での"ミッシング・リンク"だ」とカモノハシのゲノム(全遺伝情報)解読の重要性を強調。